🌎 IPCC、そして海洋気候行動計画#21
Happy Friday!
今週はEU連合がガソリン車の禁止、バイデン政権が海洋気候行動計画を発表しました。また、EVバス開発、住宅向け水再利用システム、GHG排出量分析サービスを提供する各スタートアップが資金調達しました。
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IPCCとクライメートテックが注目する分野
クライメートテック業界はさまざまな形で拡大していますが、IPCCの統合方向書によれば、すべての人にとって住みやすく持続可能な未来を確保するために、全セクター・システムにおいて迅速かつ広範囲なトランジションが必要とされています。その中でも特に重視すべきとされているのは以下の6つの分野です。
- エネルギーシステム:広範囲な電気化、脱炭素化された電力供給、省エネルギー、および効率性向上によって化石燃料の使用を減らすこと。スマートグリッド技術、需要管理、および供給量の増加を含む。
- 産業と輸送:バッテリー技術の進歩、重量物運搬の電化に加え、バイオ燃料やグリーン水素などによる代替燃料。特に主要な鉱物については物質フローを循環させることが必要である。セメント産業では、温室効果ガス排出量を大幅に削減する必要がある。短期的には物質の代替とCCSが必要だが、新しい化学反応と代替セメントの開発が特に重要である。
- 都市、集落、およびインフラストラクチャ:より良い公共交通機関、より効率的な建築物設計、リノベーション、および既存の建物の活用法改善。青と緑のインフラストラクチャーの増加は、炭素吸収をサポートし、洪水を防止し、総合的なエネルギー消費を減らす。
- 土地、海洋、食料、および水:最も緩和できる可能性を持つ対応策は、熱帯林の伐採を減らすことである。これ生態系の回復にも大きく貢献する。持続可能な食生活への転換や食品ロス/廃棄物の削減が有効です。これを実現するためにも、地元コミュニティや先住民と連携は重要である。
- 健康と栄養:生態系の改善、食品の損失と廃棄の削減、衛星システム活用により洪水被害を減らすことが求められる。気温上昇に対する効果的なシステム、感染症と疾患に対する早期警戒システム、そして普遍的な医療アクセスの普及が必要である。
- 社会、生計、および経済:災害リスク管理、早期警戒システム、気象保険のようなより良い社会的安全網。気候に関する教育を充実させることで、行動変容を加速させることができる。気候への適応は、水や衛生サービスなどの公共事業プログラムに統合する必要があります。
IPCCの統合方向書を受けて、クライメートテックが対応すべきアクションについては、こちらの英語のブログもぜひご覧ください。
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📰今週のニュース
🤝 EUは二酸化炭素の排出が実質ゼロとされる合成燃料の使用を条件に、エンジン車の販売の継続を認めることで合意しました。その合成燃料についてはこちらの解説をご確認ください。
🌊 バイデン政権は、気候変動に対抗する上で海洋保護に着目した政府初の全体戦略である「海洋気候行動計画」を発表しました。洋上風力から30GWのエネルギーを生産し、2030年までに米国の土地と水の少なくとも30%を保護するなどの目標を掲げています。
🇪🇬 昨年COP27にて、気候補償に関するグローバル基金が設立されました。 今週エジプトのルクソールにて、基金を計画するために設置された特別国連委員会が初めて会合を開きます。 代表団はどの国が資金を引き出すことができるか、どこに保管するか、どこから資金を調達するか、各国がどれだけ出資するかについて交渉を始めました。
💥 欧州裁判所において、各国政府に対する歴史的な気候変動訴訟が行われています。フランスとスイスが気候変動に対する対策を怠ったとして起訴されました。
💵今週の資金調達
🚘 EVバス・トラックを開発するEV モーターズ・ジャパンはシリーズC資金調達にて、いよぎんキャピタル、インキュベイトファンド、インターウォーズ、NTTドコモ・ベンチャーズなどから14.5億円の資金調達を行ったと発表しました。
☁️ GHG(温室効果ガス)排出量算定・開示・削減を支援するソリューションを提供するゼロボードは、2023年2月15日に発表したシリーズA資金調達において三菱商事と脱炭素化支援機構から約25億円の資金調達を完了したと発表しました。
🚰 水問題の構造的な解決に取り組むWOTAは、シリーズBにおける資金調達を実施した発表しました。
📩 資金調達情報はぜひこちらに送ってください。
💡公募
🙋♀️ Elementalアクセレーター: 革命的な気候変動技術を推進したい方は、Elementalアクセレーターに申し込んでみましょう。先行申込期限は4月14日、本申込受付は5月31日までです。詳細はこちらから。
🏭 Google Carbon Removal Research Awards: Googleは世界的な炭素削減部門の発展の加速を目指し、2030年までにネットゼロエミッションを達成するための学術研究を支援します。内容として、最大3年間、最大3人の博士課程の学生への支援が含まれています。詳細はこちらから。
🗓️イベント
🛠️ Software Innovation X Energy : 4月5日にWeWork東京Squareガーデンにて「Software Innovation X Energy」というテーマでEnergy Tech Meetupがイベントを開催します。詳しくはこちら。
🇳🇱 Climate Launchpad説明会:4月6日18時~19時半に、世界最大級の環境ビジネス起業家育成コンテストClimate Launchpadの日本説明会が都内オランダ王国大使館およびオンラインにて開催されます。詳細はこちらから!
⚡ MIT Energy Conference:4月11〜12日に開催されるパネルセッション、交流会、および気候関連技術のスタートアップショーケースが行われます。現地参加およびオンラインでの申込はこちらから。
IPCCとは「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略で、気候変動に関する科学的知見をまとめ政策決定者に提供することを目的とした国際政府間組織です。1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立され、195カ国と地域が参加しています。IPCCは世界中の科学者が協力して、科学誌などに掲載された論文などの文献に基づいた定期的な報告書を作成し公表しています。これらの報告書は、各国政府の気候変動に関する政策決定において、科学的な基礎を提供する重要な役割を果たしています。
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🎈 Climate Tech Japanでは一緒に活動できるメンバーを募集しています。興味のある方はこちらから応募してください。
以上、日本や世界での気候変動に関するイベントや機会をご紹介しました。新しいアイデア、イベントや公募、関心・興味のあるトピックがあれば、ぜひClimate Tech Japanにまでお寄せください。
それでは、良い一週間をお過ごしください!
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